地方×ジェンダー課題 その2(秋田からの声)

11/30にGEWEL OPEN FORUM 2025 地方×ジェンダー課題と題したオンラインイベントを開催します。

イベントに先立って、様々な地域の方々が日頃感じておられるジェンダー課題をご紹介していきます。

今回は第二弾、東北地方 秋田からの声です。

 

お名前:佐藤文枝さん(元:秋田県北部男女共同参画センター長)

関わっている地域:秋田県


1.あなたの周りのジェンダー課題はなんですか?

  • 男尊女卑 未だに女性が男性より下という意識が高齢者に多い。そして、女性自身も男性に依存し、自己決定権がない人もいる。
  • 女性の意識の低さ 地元だけで暮らしている方、特に60代以上は、そんなもんだと何も疑問も持たず、男性に従い、家を中心に考える。自分のことは後回し。

そんな母親を見ている若い世代はどんどん都会へ行ってしまう。男性だけではなく、女性の意識改革も必要と強く思う。

 

2.課題対策として行っていることがあれば教えてください。活動していてうれしいことや悩みがあれば教えてください。

ジェンダー平等についての新聞コラム掲載、講演活動、小さな集まりの中で少しずつ伝えるようにしている。

話をするとき、どのように伝えるか?地元意識の強い方々へ下手すると変人扱い、都会から来た人という扱いを受けてしまう。これが現実です。

高齢者の方でも信頼関係が出来ると、私の話に耳を傾けてくださり、出来ることから始めるようにしている。例えば、食事の時、食べたものは台所へ持っていくなど。

 

3.どうなるといいと思いますか?(理想の未来)

互いに出来る人がやる。相手を思いやる関係ができるといいですね。性別に関わりなく、尊重できる関係が望ましい。

 

4.欲しいもの、知りたいことなど

情報 やはり地方にいると情報格差を強く感じる。毎日の会話の中に自然と耳に入ってくる環境と、自分が探しに行かなくてはならないとは違うと思う。

今回お誘いを受けて情報を得られたことはとても嬉しいです。ありがとうございます。

 

声をお寄せいただきました佐藤さん、ありがとうございます。

 

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地方×ジェンダー課題 その1(北陸からの声)

11/30にGEWEL OPEN FORUM 2025 地方×ジェンダー課題と題したオンラインイベントを開催します。

イベントに先立って、様々な地域の方々が日頃感じておられるジェンダー課題をご紹介していきます。

今回は第一弾、北陸からの声です。

 

お名前:北陸地方社労士

関わっている地域:北陸


1.あなたの周りのジェンダー課題はなんですか?

社労士という仕事柄、企業内における男女間の賃金格差、家事・育児の負担の偏りによる女性活躍推進の壁等が課題として感じています。

具体的な事例:

  • 都会に比べて子育て中のママたちが自分の仕事に誇りをもって語り合う時間や場がない(仕事は生活や日々の暮らしの手段として捉えてる生き方の方が浮かない。バリキャリ女子がまだまだ浮く存在)
  • もう少し夫に家事・育児に協力的になってほしいと思っている、そして夫自身もそのようにしたいと思っているが、同居、近距離同居の場合、妻にとっては義両親、夫にとっては両親の手前、家事・育児を頑張っている妻・嫁として振舞っている方が色々と平和な関係が保てる。(ので、夫は遠慮しているのが分かるし、だから妻としてもあまり強くは言いにくい)
  • 移住者や新事業分野創出・起業など目新しい分野などでの女性活躍は注目されたり、進めやすいが、元々根付いている県民、元々の産業における中小企業において従来からの脱却が難しい。

 

2.課題対策として行っていることがあれば教えてください。活動していてうれしいことや悩みがあれば教えてください。

企業支援を行っていますが、地域性において男女の性別役割分担意識の濃淡、世代間でのギャップと同居・近距離居住の関係性など社会的課題も多く企業だけでは解決できないと感じます。

人手不足のおかげで少しずつ意識が変わってきているので、今後は企業成長や経営効果をしっかり実感できるように、もっともっと一人一人がのびやかに能力が発揮できるよう個を支援する施策が充実して欲しいと思います。

 

3.どうなるといいと思いますか?(理想の未来)

純粋に「地方」が好きな若者・子どもが、「考え方・風習・価値観」や「就職での魅力度の低さ(企業・業種はもちろん、企業内での意欲につながる多様なタイプの少なさ)」で地方を出たい、地方に戻りたくないと思わないような未来。

 

具体的な声をお寄せいただきました。ありがとうございます。

 

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イベントレポート:GEWELオープンフォーラム2024

テーマ:「組織と個人の未来を共に考えるために」

開催:2024年11月30日(土)19:30~21:00(オンライン開催)


1.開催概要と目的

GEWELオープンフォーラムは、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を社会と組織の両面から考える年次イベントとして開催されており、今年で15回目。

2024年のテーマは「組織と個人の未来を共に考えるために」。

昨年の議題「D&Iのキャズムをどう超える?」を踏まえ、今年は“その超え方”を具体的に議論する形となった。

開会の挨拶では、小嶋代表理事が「D&I推進を一部の部署や担当者に任せるのではなく、すべての部門・職種に“主流化(Mainstreaming)”させることが次のステップ」と語り、

この日の目的を「ダイバーシティ専門家の活躍の場を、より多様な分野に広げるための対話」と位置づけた。

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女性が管理職になる時によく起きる「はて?」・・小嶋美代子

「はて?」

最近、わたしの周りでよく聞くセリフです。ドラマをきっかけにジェンダーのことが気になるようになったようです。あらためてドラマの影響力を感じます。

今日は、女性が管理職になる時によく起きる「はて?」を整理してみました。

 

  • はて?わたしが昇格するなんて滅相もない

まさか自分が昇格するなんて思ってもみなかった、と聞くと、わたしは「このご時世にほんまかいな」と疑ってしまいます。本当は予期していたのに想定外だと主張するケースでよくあるのは、セルフ・ハンディキャッピングです。試験前に勉強したか問われて「ぜーんぜん!」と答えるアレです。美しさの秘訣を聞かれた女性芸能人が「特別な事は何も」と答えるのも同じです。この心理はセルフハンディキャッピングと言い、失敗時の言い訳ともいえます。また、必死にならないことが美徳という価値観から来ていいます。女性が、管理職に興味ないことを美徳と捉えていることも影響しているように思います。

 

  • はて?それは偶然でしょう

管理職になることを予想はしていたけれど、そのタイミングが早かったという話も聞きます。管理職キャリアの期待を感じ、自らもそのつもりで経験を積んできたものの、まだまだ自分には無理だろうと思っていたので、辞令を見て驚くのです。仕事で成功してもそれは自分の能力によるものではなく、偶然や他者に理由があると考えることが、とりわけ成功者の女性に多く見られます。インポスター症候群と呼ばれています。

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ブログ:ダイバーシティの中で語られる共感とは・・篠田寛子

ダイバーシティを推進するために「共感力を磨きましょう」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

共感とは、相手の気持ちや考えに寄り添い、その背景を理解しようとする姿勢です。単なる同意ではなく、なぜ相手がそう考えるのかを知ろうと努めることで、誤解や偏見が減り、深いコミュニケーションが生まれます。多様な意見や価値観に対して共感することで、職場やコミュニティでの一体感が高まり、多様性を活かした新しい価値の創造につながります。

というように、私も研修で共感の重要性を伝えていますが、共感について今一度考えてみたいと思います。

  • 共感そのものが難しいと感じる人がいるようだ
  • 共感力がある人でも、状況によってその度合いが変わることがあるようだ
  • 不安なとき、自分を守るために共感しない選択をする人がいるようだ
  • 共感疲労という言葉があるが、やり過ぎないために何が必要か?
  • 共感さえすれば解決と思っている人がいるのではないか?

こうした疑問が浮かびます。

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ブログ :「手話」をテーマに異文化コミュニケーション・・五十嵐ゆり

ある自治体のLGBTQ+啓発事業の一環として、映画上映会の企画・運営を担当しています。昨年は、トランスジェンダーをテーマにした作品「片袖の魚」を上映したので、今年はテーマを変えて、LGBTQ+と“ろう”をテーマにした作品「ジンジャーミルク」を選びました。

監督の今井ミカさんは、第一言語が日本手話のろう者で、2018年には「虹色の朝が来るまで」にて、ろう者の同性カップルを主役とした作品を作っています。地方都市のろう者のコミュニティの狭さや、家族との対立、ろうのLGBTQ+交流会での新しい出会いなどが描かれており、ダブルマイノリティと言われる人々の日常や喜怒哀楽を、映画を通じて追体験することができたので、今井監督の次なる作品に大変期待していました。

その作品、「ジンジャーミルク」は、初見で大きな衝撃を受けました。

日本手話と日本語は、全く別の言語であることを改めて痛感させられました。聴者(聴覚に障害がない人)がある手話を使ったことによってすれ違いが生じますが、詳細を書くとネタバレになっちゃいますので、ここは伏せます。ぜひ作品をご覧ください。日本手話は独特の文法体系を持っていて、日本語とは語順も異なるそうです。お恥ずかしながら私は以前、手話は聴者が話す日本語をハンドサインで翻訳しているものと思い込んでいましたが、それは、日本語対応手話、と呼ばれるものです。日本手話は、第一言語として手話を習得した方が多く使うものだそうです。

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ブログ:マックルモアから学ぶ「特権」との向き合い方・・稲葉 哲治

アメリカ・シアトル出身のラッパー、マックルモア(Macklemore)が5月に発表した新曲『HIND’S HALL(ヒンズホール)』は、みなさん聞かれましたでしょうか?

ニューヨークのコロンビア大学でガザ反戦デモを行う学生たちに連帯し、自国のあり方を問う曲。ベトナム反戦運動の舞台にもなった同大学の象徴的建築ハミルトンホールが、ヒンド・ラジャブさんというパレスチナの少女への追悼から「ヒンズホール」と呼ばれだしたことに由来した曲名になっています。収益は全てUNRWA(国際連合パレスチナ難民救済事業機関)に寄付されるとのことです。

明るく楽しいノリノリの曲も数多く発表しているマックルモアですが、折々で社会の不条理さとそれに直面する人のあり方を抉るように問う作品を発表しています。

有名なものは、同性愛をテーマとした『Same Love』でしょう。繊細なピアノの旋律にのせた内向的な歌い方で「小学校3年の時、自分はゲイだって思っていた」という独白から始まるこの曲は、逡巡する思考を吐露しながらも、お互いを尊重し理解できないものへの怖れを乗り越えながら、社会を自分たちで変えていくこと(We have to change us)を呼びかける、とても美しい作品です。ミュージックビデオも感動的なため、5分半程ですが涙もろいかたは泣いちゃうかもしれません。

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レポ:ダイバーシティ推進者が海外に行ってきたこと感想会 ースペインとオーストラリアに行ってみてー

開催概要

開催趣旨:理事3名が世界のダイバーシティ現場を体験し、そこで得た気づきや学びを共有する。

登壇者:理事3名

 - 篠田 寛子(代表理事)(GSWに参加)

 - 小嶋 美代子(理事)(GSWに参加)

 - 五十嵐 ゆり(理事)(マルディグラに参加)


オープニング

設立者・堀井きみ子氏の逝去を受けて、その功績に触れながら開会。

堀井氏は「女性の自信のなさ」をジェンダー課題の本質として調査・発信してきた人物であり、彼女の志が今もGEWEL活動の原点にあることが語られた。

本会はその志を引き継ぎ、**「世界の現場から見えたD&I」**を共有する趣旨で実施された。

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ブログ:天然ダイバーシティな人・・山田 弘

天然ダイバーシティな人ってどんな人?

天然ダイバーシティをGoogle検索してみると、『地球上のさまざまな環境の中で適応進化した多種多様な生物(人類を含む)が、さまざまな形で関わり合いながら暮らしている状態を表す概念である「生物多様性」に倣う言葉』(AIによる概要)と表示されます。

が、ここでは『ダイバーシティに関する知識スコアは低いけど、ダイバーシティにフレンドリーな人』と定義します。

そんな人いるの?と思うかもしれませんが、いるのです。

なぜなら、私がそうだったから。

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ブログ:わかりやすくなったダイバーシティ・・小嶋美代子

ダイバーシティの用語認知度はどれくらいだと思いますか?

2022年のGEWEL調査によると、ダイバーシティを知っていますか?の質問に対して、「意味を説明できる」が14%、「なんとなく理解している」が28%で、認知度は42%。「全く知らない」は20%でした。

ところで、GEWELが設立されたのは20年前(設立経緯はこちらでお読みいただけます)。以降、ダイバーシティに関する様々な調査をしてきました。2008年のGEWEL調査から同じ質問の回答結果をご紹介しましょう。

「ダイバーシティを聞いたことがあり、どういう意味か知っている」は52%、「全く知らない」は16%でした。これを見ると、日本は14年もの間、ノー変化なのか?!と驚かれることでしょう。

これは調査対象の違いが影響しています。2008年の調査ではビジネスパーソンに限定されていましたが、2022年の調査では職業の有無にかかわらず広く一般市民層が対象です。

みなさんの実感ではどうでしょうか?

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