ダイバーシティの用語認知度はどれくらいだと思いますか?
2022年のGEWEL調査によると、ダイバーシティを知っていますか?の質問に対して、「意味を説明できる」が14%、「なんとなく理解している」が28%で、認知度は42%。「全く知らない」は20%でした。
ところで、GEWELが設立されたのは20年前(設立経緯はこちらでお読みいただけます)。以降、ダイバーシティに関する様々な調査をしてきました。2008年のGEWEL調査から同じ質問の回答結果をご紹介しましょう。
「ダイバーシティを聞いたことがあり、どういう意味か知っている」は52%、「全く知らない」は16%でした。これを見ると、日本は14年もの間、ノー変化なのか?!と驚かれることでしょう。
これは調査対象の違いが影響しています。2008年の調査ではビジネスパーソンに限定されていましたが、2022年の調査では職業の有無にかかわらず広く一般市民層が対象です。
みなさんの実感ではどうでしょうか?
ダイバーシティという言葉が日常に現れることも増えてきたのではないでしょうか。わたしの住む数千人の小さな町でも、政策として掲げられています。ダイバーシティはすでに組織における戦略としてだけでなく、一般市民の生活に根付いてきたと言えます。インバウンドによって外国人との接点も増えました。一般誌でジェンダー特集も組まれるようになりました。発達障害を含めた日常の困りごとがSNSを通じて伝わるようになりました。最近では昭和時代のアタリマエを令和と比較して茶化すようなドラマもあるそうです。
こうした変化によって、ダイバーシティは徐々に「わかりにくい新しい言葉」から「わかりやすいよく聞く言葉」になってきたものと思われます。
「わかりやすいはわかりにくい」(筑摩書房・鷲田清一著)という本の中に、興味深いことが書かれていました。すべてがわかりやすく整理され完結することは、そのことの終わりを示す、ということだそうです。
だから、わたしたちがわからないこと、矛盾すること、混沌としていることは、持続性を示しているわけで、決して悪いことではないのです。日本ではこう、海外ではどう、などと二項対立で語ることや、理由と結果を述べて結論付けることは、刹那的であり持続的ではないというわけです。矛盾や混沌の複雑な社会の中で、人と対話しながら異なる角度で本質を思索することこそが幸せの追求であり、Wellbeingなのでしょう。わたしが文末に結ぶ言葉はまさしく持続可能性であると言えます。
しらんけど
小嶋美代子