ふたりゴト(January)

Aya Noguchi Yuta Hasumi

Y「あけましておめでとうございます!」

A「あけましておめでとうございます!」

Y「D&I X スポーツ、オリンピックパラリンピックの年、あやさんにとっては忙しくなりそうですね。よく世界を旅していますね」

A「よく旅するのは蓮見さんもですが(笑)今年は東南アジアへ出張することが多くなりそうです」

Y「どうしてですか?」

A「今私が取り組んでいる研究がインドネシア、タイ、マレーシアなど東南アジアにおけるジェンダー規範が女性のスポーツ参画にどのように影響を与えているのか、を研究しているんです」

Y「へぇ!アジアにおける女性の地位やジェンダーの考え方はどんな感じなんですか?」

A「もちろん国によってさまざまですが、例えばタイはトランスジェンダーなど性のあり方は社会的に寛容ですが、女性らしさなどの固定概念はまだ根強くその狭間で揺れている若者たちもいるようなんです。」

Y「確かにイギリスでも女性の社会進出は他国と比較して進んでいる一方で、ロイヤルファミリー像から男性や女性の在り方について社会における枠や期待が強いようにも感じます」

A「タイのレズビアンコミュティでは「トム」と言われるカッコイイ性の表現をする女性がいます。もちろん可愛らしい性表現の人もいますし。女性を一括りにするのではなく、その中での性表現が多様になってきていることは日本にもいい影響がありそうです」

Y「確かにタイはジェンダーに寛容な印象がありますね」

A「仏教の精神は魂が人に宿ると考えられるので、身体と自認する性が異なる場合があることは説明ができるんですよね」

Y「とてもインクルーシブな宗教的価値観ですね。納得できます。そいういえば最近、女子サッカーの中でもカミングアウトをする選手も出てきていますがスポーツ界での性の多様性やLGBTに対する寛容さはどうなのですか」

A「実際にチームでプレーしていると、チームの中で恋愛があったり誰かからチームへカミングアウトがあったりしても自然であった経験があります」

Y「強いチームには多様性を活かしあう精神が不可欠ですよね!」

A「その通りです!それでも尚、公にカミングアウトをする選手はほとんどいないのでまだまだ寛容でない部分も少なくないように感じます」

Y「全員が皆カミングアウトしたいわけではないとは思いますが、スポーツにおいてこれだけ少ないとまだまだ課題も多そうですね」

A「最近、女子サッカーの下山田選手のカミングアウトもあり『女子サッカー界におけるLGBT』と謳うメディアや記事もよく目にしますが、女子サッカーに限った話ではないんですけどね」

Y「確かにメディアの影響力はすさまじいですね。先日の紅白歌合戦もLGBTのメッセージ性が大々的に報道されていましたよね。国民的メディアであるだけに世界男女格差指数の順位は121位と年々下がる一方である女性活躍とのバランスも実は少し気になりました」

A「そうですよね。私も講演などさせていただくときは、ある一つの多様性の側面だけが誇張しすぎない、ある特定種目だけが強調されすぎない表現を心がけています。

Y「大切な視点ですね。誰にとってもインクルーシブな社会やコミュニティを創るときには、さまざまな属性の人がコラボレーションし合えるようなメッセージとなるよう気をつけたいですよね」

A「はい、私だけの力では微力に感じることもあるんですが、まずは私の身近にいる人が生きやすくなったらいいなという思いはあります」

Y「素敵ですね!今年もまたどこかの国で会いましょう!」

A「どこかの国で!」

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