NPO法人GEWELは2003年の設立以降、ダイバーシティ&インクルージョンを中心に、多くのひとに影響を与えてきました。GEWELと関わったことをきっかけに、新しい何かを起こしてきた「コトおこし」の例を紹介していきます。
File21:蓮見 勇太(ハスミユウタ)
Ikigai Authentic Limited 代表取締役CEO
NPO法人 GEWEL 理事
Q: あなたを掛け算で表現すると?
「日本人男性」 x 「グローバル」 x 「生きがい」x 「オーセンティック(自分らしさ)」
石川県生まれ、ロンドン在住。「ダイバーシティ&インクルージョン=自分らしくあること(Authentic)」をモットーに、D&I活かしたビジネス、ブランディング、女性活躍推進、多様性を尊重する組織文化変革を他企業・団体と一緒に企画・実行しています。ほかにも多様性にとどまらず多才性に富む組織や社会や生き方のヒントをForbes連載やその他講演など、各所で発信しています。その前は外資系企業でこれまでグローバル人事、女性活躍、ダイバーシティ&インクルージョン推進を担当し、2017年よりロンドンへ移住、日本とイギリスの2拠点の架け橋となりながら現在の仕事をしています。
昔ながらの日本的な家庭で生まれ育ちました。中学受験をし大学系属の私立中学へ入学、レベルの高い教育を受けさせてもらい、両親が敷いてくれたレールに乗って10代、20代を過ごしていました。そこには生きやすさと生きづらさの葛藤がありました。「べき論」や「良い学校」という所謂王道に乗ることへの生きやすさと「本当は自分の中に違う意見があるのに」マジョリティの波から外れることへの恐怖からくる生きづらさでした。
大学に入り多くの国から来た留学生と接することで、自分が日本人男性として価値があることに気づくことができ、自分らしく堂々と生きている彼ら彼女らから多くの刺激をもらいました。日本の外には広い広い世界が広がり、多様な考え方や生き方のヒントがあることを知りました。それから現在にいたるまで約50都市を旅してきました。国旗を見ると心躍りワクワク!キャリアの軸としてグローバルに活躍することを選択した起源はここにあると思います。
Q: GEWEL との出会い
人生にはおせっかいをしてくれる先輩がいること
「女性のお茶くみ当番を廃止する 」ダイバーシティ&インクルージョンの初仕事はこれでした。当時はダイバーシティなんて言葉も知らなかったのですが、「誰もが自分らしく働ける組織をつくりたい」という想いから人事の仕事に就きました。お客様が来社した際、みんな忙しいのに女性ばかりが手を止めお茶を出すことに違和感があり、上司に直訴して男女共同作業にしました。会社内では頭がおかしい人扱いでしたが、社外でこんな話をすると興味を持って、ジャッジすることなく耳を傾けてくれる人がいました。
その中のひとりがGEWEL現代表の小嶋美代子さんと前代表の村松邦子さんでした。ダイバーシティ推進の仕事をすでに実践されていた大先輩。その後、私がダイバーシティ推進の仕事に就いたとき、自身の経験を惜しみなく共有してくれたり、イクボス企業同盟を紹介してくれたり、ネットワークの大切さを教えてくれました。
今でも忘れないのは、私が仕事で行き詰っていたときに小嶋さんに「もう折れそうです」と相談をしたことがありました。その時、小嶋さんは「まだ折れてないから大丈夫だよ」と声をかけてくれたのでした。
2017年イギリスに移住することを決めたときも一番に応援してくれ、オープンフォーラムに登壇する機会をもらいました。そこでは高見真知子さんや荒金雅子さんといった普段の仕事の中ではなかなか出会えない方との出会いもありどんどんネットワークも広がっていきました。
Q. 具体的な転機やその後に訪れた変化は?
リモート理事になる。GEWELはコト起こしを応援し、不安を和らげてくれる場所
その後、GEWEL正会員となり理事へと推薦してくれたときには、迷うことなく承諾の返事をしました。当時、異国の地で生活を始めたこと、組織に所属しなくなったことへの不安があったのですが、そんな相談をしたときにもGEWELという組織へ所属できる、という不安を解消してくれたことも有難いです。
すでにイギリスにいる私でいいのか!?という想いもあったのですが、テレワークやリモート勤務を何も疑問に思うことなくすることができていることがGEWELらしいなと思い、感謝しています。今は自分がもっとも価値を出すことができる「グローバル × インクルージョン ×自分らしさ」をテーマに活動しています。イギリスにいるときは情報発信、日本にいるときはイベントやフォーラムの企画をしています。
Q. 今どんなコトを起こしていますか?
ビジネスを越え、ソーシャルインパクトへ「自分らしくいられる職場と社会」
GEWELに参加してからは視座が高くなり、働きがいにくわえて生きがいのある社会にするにはどうしたらいいのか?と考えて行動をすることができるようになりました。
今までは企業に勤める中で数値目標やKPIを課し、ビジネス成長のために成果を出すこと、よりパフォーマンスの高い組織作りに貢献することに100%努めてきました。NPO法人GEWELの活動を通し、さまざまなバックグラウンドや世代の人と働くことで、今まで忘れがちだった「社会を変える、豊かにする」というミッションや、パッションを率直にカタチにしていく術を学ぶことができています。
Q. これから起こしたいコトは?
日本と海外の「架け橋」になること × 腹落ち × Pay it Forward (恩送り)
2018年は仕事とプライベートを含めて10か国を旅することができました。 いろいろな国へ行き多様なバックグラウンドの人とコミュニケーションをすることで自身の視野が広がるだけでなく、日本の良いところも同時に分かり自分のアイデンティティのひとつとして日本人であることが大きいことにも気づくことができました。
ダイバーシティ&インクルージョンにおける海外の成功事例を日本へ持ってきて広めること、そして日本が優れていること、素晴らしいことを海外で発信することが自分の使命であると感じています。
そしてダイバーシティ&インクルージョンはなんとなくコンセプトは分かるものの、それが自分ゴトとして腹落ちしている人はまだ多くないように感じています。ポリティカル・コレクトネス(政治的・公正的には正しいこと)、所謂ポリコレで自分に言い聞かせるのではなく真に腹落ちすることができる仕組みづくりも考案中です。
また、自身の持つ価値や経験、知見を共有することで、これまでお世話になった方々から頂いた縁や恩を周りの人や次の世代へ送っていきたいとも考えてます。これまでは自分の所属する組織やコミュニティのみをより良くすることに必死でしたが、微力ながらより多くの人々や世界へ恩を送ることを実現していきます。