地方の活性化と共生のために、私たちが始めること レポート

7月23日(火)D&I交流会「地方の活性化と共生のために、私たちが始めること」が開催されました。

スピーカーは、「ごはん屋MOGU」を運営しながら、地方再生のまちづくり活動も行っている中川陽子さんです。

<ごはん屋立上げ>

中川さんは大手電機メーカーグループで働き、ご結婚、2度の出産後、ご主人の海外赴任で上海に帯同されました。帰国後、子供たちが孤食にならないよう、食堂をオープンしようと考え、横浜の大倉山でカフェの定休日を使って「ごはん屋MOGU」を3年前にスタートしました。食材は地産地消にこだわり、子供たちを主役に、大人はサポーターというコンセプトで運営しています。

食堂では「地域の多様性」や子供たちの感受性に「未来の予感」を感じながら、自分たちが楽しまなければ、お客様は楽しめないとの考え方で、お客様との「共感」「おいしいサービス」を大切にし、「不完全さは次へのワクワク」ととらえて活動しています。【地域×社会実験×楽しい】

<“地方”や“地方再生”とは>

「 “地方”や“地方再生”とは」について、参加者の皆さんからは、いろいろなキーワードが出ました。

(一部抜粋)
「豊かな人生」「自然が美しい」「特産物」「過疎と高齢化」「独自の文化」「車社会」「学校定員割れ」「ご当地キャラ」「インバウンド」「古民家のイノベーション」「ブランディング」「企業誘致」「働き方の多様化」「インスタ映え」「田舎の強みを出していくと魅力が増す」「地方によって個性がある」

<地方都市 金沢”での取り組み>

最近は、「職住近接」の動きがあり、中川さんは横浜市で自分の地域で働きたいという人たちの講座運営にも関わっています。ご出身の“金沢”との再会は、「母の嘆き」と「兄からのヘルプ」がきっかけでした。母からは「商店街で40年続いた服屋さんをどうやってしまっていったらよいか」
兄からは「新幹線効果で街の表面は整備されているが、裏面の商店街にはお金が投入されない」という相談があったのです。

交通アクセスが良くなり観光客が増え「地方って良くなっていくよね」という前向きな面がある一方で、現実的な面は「高齢化していてどうやって終わらせていくか」という話でもありました。

商店街を活性化させる街づくりとして、「この街の成功と失敗とは何か?」「企業誘致が失望に変わらないか」「街の持続と、高齢化とはどう向き合うか」「どのようにこの街とかかわり、どうやって出ていくか」などの仮説を立て見えてきたものは、【人と土地へリスペクト】でした。

プランニングする中で、「身の丈の風景」「心地よさと安心」「明日も住民」などのフレーズが見えてきたそうです。その中でも「本当にその住民が望んでいる形なのか」「キラキラしたA面ではなくB面はどうするか」「暮らしが安定しないと持続可能な街づくりは難しいのではないか」「若い人が引き継いで行ける街にしたい」などの自問自答も続いているようです。

<どの地域にどの軸でかかわるか>

最後に「どの地域にどの軸でかかわるか」について参加者全員で考えました。

(一部抜粋)
「車がないと生活できないことをなんとかしたい」「地域の課題をみえる化して、プロジェクトを手伝っってくれる人を募る」「普段の生活からおもしろいよ、という価値を見出すこと、通ってもらえること」「ふるさと納税で街の紹介も一緒に送ってくれる自治体があり、行ってみたいと思う」「美術館に来る人が宿泊すると地方活性化になる、企業も貢献できる」「映画でブームになったことがある、声が大きい人がブームをつくる」「地域に何かを返したく、地域の知的障碍者のパン屋さんを利用する」

<まとめ>

中川さんの話は、前半は食堂という場を通して、子供と大人が出会うことでワクワクする「地域の多様性」に共感することができました。後半の「地方再生・活性化」では、最初は「外から地方を考える立ち位置」でしたが、中川さんの取り組みを聞いて、「さまざまなLife(暮らしや生き方など)」があり、「内から地方を考える立ち位置」で「地方再生・活性化」に向き合う難しさを認識しました。自分軸で多様性を受け容れ、取り組んでいくことの難しさとそれをワクワクする気持ちに変えるパワーもいただき、とても有意義なテーマの交流会でした。

会員 山田和彦

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