オランダでの多様な働き方と暮らし編 レポート

GEWEL理事 島谷美奈子

11月20日、GEWEL D&I交流会「オランダでの多様な働き方と暮らし編」が開催されました。ワークライフバランス先進国であり、子供の幸福度が世界一であることで注目されていますが、実際のところはどうなのか、海外(主にオランダ)と日本を行きする、佐藤彩有里さんから、最新のオランダ事情をお聞きしました。お話を元に参加者の皆様との交流を行い、それぞれに深い気づきのあった時間となりました。

・働き方

ワークシェアリングは国の政策として進めたこともあり推進され、リモートワークの導入も進んでいます。またダブルキャリアも一般的で、例えば、首相が中学校で社会学を生徒に教えています。やりたいことがあるからチャレンジする、これまでと異なる仕事に移るなども一般的に行われているのです。

 

パートタイマーの割合は49.8%ですが、そのうち女性が76.6%です。子供の放課後の預け先の整備が進んでいないこともあり、子供のケアのためにパートタイムを選ぶケースが多く、女性の割合が多いのです。実は、ジェンダーギャップ指数は、144ヶ国中32位と決して高くありません。専業主婦率も20%ほどあり、ジェンダーギャップ指数が高い北欧の国々とは少し違いがあるのです。

 

・教育

オランダの初等教育は4歳から始まります。自分が何をしたいかを考えさせて選ぶ教育方針で、最近はイエナプランという志向力や創造性を高める手法が知られています。また、学校は教育の場でしつけの場ではないことが明確化されており、生徒の態度に問題が起これば親がケアすることとなります。そのように、親は学校に子供を任せっきりではなく継続的に子供のケアを行うことと、教師の権利が守られていることが、子供の幸福度に繋がっているのかもしれません。

 

・ダイバーシティ

移民の受け入れは5.6年前までは推進していましたが、最近になって課題も表面化してきています。アジア系と、アフリカ・中東系の移民の間で、就職のしやすさなどの違いによるトラブルの発生が起こったり、トルコ系の政党の台頭への不安拡大が発生した事例があります。

障害を持つ方との共存については、政府主導で正しい知識・対処法の啓蒙活動が進み、障害がある人にも権利を認めようという動きが活発になっています。

さらに、収監率が減っていることも特徴で、空いている刑務所をノルウェーに貸し出しています。囚人であっても家族との時間を持つ機会を与えており、子供が訪問しても過ごしやすいようなスペース作りも進んでいます。

・コミュニケーション

「異文化理解力(エリン・メイヤー著)」によると、オランダはメッセージを「額面通りに伝え、額面通りに受け取るシンプルなコミュニケーション(ローコンテクスト)」を取り、日本とは対照的です。日本では、メッセージを行間で伝え、行間で受け取る、「含みがあるコミュニケーション(ハイコンテクスト)」だからです。ビジネスや生活の場面で、オランダ人から「それはよくない」「それは好きではない」とストレートに伝えられて最初は戸惑う日本人は少なくないようです。

 

 

・オランダでの多様な働き方と暮らしから私たちが学べること

ルールを守りながら、その中での自由と多様性を受け入れるオランダ人の働き方や暮らしは、自分が何をしたいのかを考えて決断する教育を受け、シンプルなコミュニケーション通して、行動を起こしてきた結果だと感じました。

今、日本においてオランダの多様な働き方や教育への関心が高まっているのは、日本が変化の時期に来ているということなのかもしれません。

まずは、違いを学び、可能な部分を受け入れることから始めてみたいと思います。

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