歌舞伎から学ぶお江戸の多様性 レポート

GEWEL賛助会員 眞島かな子
 6月22日に、D&Iセミナー「歌舞伎から学ぶお江戸の多様性」が開催されました。

冒頭、副代表理事の小嶋さんよりゲストの佐藤昇一さん(元歌舞伎役者・中村蝶之介さん)さんの紹介と今回のセミナーに至った経緯が説明され、佐藤さんへバトンタッチ。前半1時間程度で歌舞伎体験、後半は自由な質問になりました。 始めに、歌舞伎の面白いところをまとめた映像を見て、感想を発表していきました。歌舞伎の表の世界だけでなく、化粧をしている場面、着替えをする場面など、歌舞伎の裏の世界を垣間見ることができました。「女形の化粧がリアル」「ものすごい運動量。体が柔らかくて体操選手みたい」「衣装が想像以上に重量感がある」など、参加者からいろいろな意見が出ました。 次に、実際に歌舞伎の中でも「女形」という部分に注目し、中村さんが実際に「藤娘の藤音頭」という演目を実演されました。
一人の女性の一生を、しなやかさ、従順さ、はかなさで表現されたこの演目はとても見ごたえがありました。その後、同演目のDVDを見て、ライブ感のある演奏や、演出の数々を教えていただきました。「形があって、そこに生の人間が演技する。人によって、解釈が違ってくる」という中村さんの言葉が印象的でした。他にも、「助六」の演目のセリフを披露していただくなど約1時間の歌舞伎体験はかなり濃密なものとなりました。  後半はさまざまな質問に順次答えていく方式で、参加者から活発な質問や意見が出ました。見栄をきる、白塗りをする、きれいな衣装、、、等々、これらの演出にはすべて意味があるということがわかりました。中村さんの軽妙な語り口と、終始和やかな雰囲気の中、大盛況のうちに終えることができました。 今回のセミナーを通し、歌舞伎の世界は、様々な人の力と様々な解釈の融合により生まれた産物であり、現代まで脈々と受け継がれているものであると同時に、自分たちが想像していた以上に多様性のある文化であるということを感じました。

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