GEWELとわたし(島谷美奈子)

NPO法人GEWELは2003年の設立以降、ダイバーシティ&インクルージョンを中心に、多くのひとに影響を与えてきました。GEWELと関わったことをきっかけに、新しい何かを起こしてきた「コトおこし」の例を紹介していきます。

File06:島谷美奈子

GEWEL理事/キャリアカウンセラー

Q. あなたを掛け算で表現すると?
ジェンダー×キャリア×多世代

まずは、「ジェンダー」についてお話しします。保守的な家庭で育った私が、自我に目覚めたのは10歳の頃です。病気で入院した父に「自分たちに何かあったら、姉弟で助け合って生きていきなさい」と声をかけられました。家事育児にノータッチで、ほぼ話をしたことがない父から話しかけられたことに喜んだのも一瞬でした。その後、こう言われたのです。
「弟は男だから大学に行かせなくてはいけない。お前は女だから働いて弟を助けなさい」と。
衝撃を受けました。男女で待遇は違う。そして、親に何かあったら、私の人生は何も起こることがなく終わってしまう。その前に行動を起こさなくてはと考えたのです。
地元を出て、東京の大学へ進学する8年計画を立てたのはその時です。女の子だから、というだけで、待遇に違いがあるのは発展途上国だけの出来事ではなく、現実的な課題だと感じています。

次に「キャリア」。前述のような気持ちの一方で、早く社会人になって働きたいという気持ちもありました。母方の祖父が事業家で、65歳で創業した会社が軌道に乗り始め、私の父や叔父らも入社し、親戚が集まると今後の事業について語っている場面をよく見ていました。毎朝、冷水摩擦をして体を鍛え、背中をぴんと張った姿で出勤する祖父の姿はカッコよいものでした。ベンチャー企業や新規事業のワクワク感が好きなのは祖父の影響です。

けれども、祖父と同じテーブルについているのは男性のみ。女性子供は別でした。私は「どうしたら同じテーブルについて話ができるのだろうか」といつも考えていました。そうして、働いて経験を積めば話ができるようになるのだろう、と考えついたのです。キャリアカウンセラーになった背景には「働く」ことへの関心の高さがあったのかもしれません。

最後に「多世代」についてです。キャリアカウンセラーとして若者のキャリア支援をする中で、内定辞退の陰に親の影響が強いことに気づきました。何名かの保護者から、このような声を聞きました。「私だってかつてはやりがいのある仕事をしていた。それを育児で中断したのよ!」
若者のキャリア支援には、親世代のキャリア支援も必要なのです。

現在は女性のキャリア支援をメインに行っています。ブランクがある方の再就職支援では、自分たちの挑戦が子供たちの就職へ良い影響を与えると伝えています。また、働き続けることが当然だといわれてきた周囲の男性たちへも、「一度やめても、何度でもチャレンジできる」と伝えることができます。
性別・年代を繋ぐ役割として、さらにキャリア支援を深めていきたいと考えています。

 

Q. GEWELとの出会いは?
 理事との出会い。点がつながり、理事に

GEWELを知ったのは、代表の村松さんと出会ったことがきっかけでした。人事コンサルタントの鈴木孝枝さんが主催するワークショップで同じグループとなり、これから実現したいことを語り合いました。その後、SNSでつながって情報交流する中で、ある企業の職場環境改善プロジェクトに違う立場で関わっていることがわかったのです。プロジェクトが終了後にご連絡させていただき、改めてGEWELの活動を知りました。

オープンフォーラムに参加し、企業と個人、会社員とフリーランス・起業家、学生からシニアまで、と多様な方が集まる場であることを知りました。さらに知見を増やすために、セミナーや交流会に定期的に参加し、3年前から正会員として研修事業にも関わっています。2018年3月からは理事の一人として活動をしています。

Q. 具体的な転機やその後に訪れた変化は?
 視座の高まり。境界線を超えた活動へ

GEWELとの出会いで変わったことは、視野が広がり視座が高まったことです。
年代や立場が多様な方々と出会いにより多様な価値観をうけいれられるようになりましたし、研修事業にチームで参画することで経験値を増やすこともできました。

それまでは、「ワーキングマザー」「30代40代女性」「キャリア」に関連する方との交流が主でしたが、良い意味で枠を崩し、新たな風を入れることができたのです。

昨年、あるダイバーシティセミナーで「ダイバーシティを推進する立場の方が、同じようなカテゴリーの方とばかり付き合っていたとしたらどうでしょうか?」と投げかけを受けてハッとさせられました。まさに、数年前までの自分はそうでしたし、見える範囲のことばかり見ていたことに気づかされました。

現在は、多角的な視点や多様な立場から物事を考えるようにしています。

 

Q. 今どんなコトを起こしていますか?
GEWELを通して実現した私の経験をつなぎたい

GEWELの理事としてD&I普及啓発交流会を担当しています。
交流会の特徴は、GEWELの会員の方から企画を募り、運営をGEWELがサポートしている点です。

どうしてやりたいのか?なぜGEWELなのか?何を伝えたいのか?を打合せを通してお聞きし、想いを言語化することを通してアクションを進めています。さらに、企画者以外の会員の方に、当日の受付やレポート作成をお願いしています。そうして、関わった会員の方が次の企画をご提案いただくこともあり、ゆるやかな流れができてきたと感じています。

これまでに「多様な働き方」「強み分析」「健康」「スポーツ」「地方」「海外のD&I事例」等、多様なテーマのご提案をいただいています。

私自身も、理事になる前は会員として運営サポートやレポート作成を通して、多様な経験を積ませてもらいました。D&Iに関する活動を「やりたい」と思った会員の方が、経験を積める場にしたいと思います。

Q. これから起こしたいコトは?
 多世代を繋ぐキャリア支援

キャリアカウセラーとして、多世代や異なる性別を繋ぎ、それぞれがHAPPYになるような“世代間を循環するキャリア支援”をしていきたいと思っています。
キャリア支援の場では、「若者を支援したい」「障害者を支援したい」「女性を支援したい」等と、自分が関わる対象者への支援に熱が入りあまりに、かえって周りが見えなくなることがあると感じています。働きたい誰もが、自分らしく働くために、支援する側も協力できるように、私自身が多方面に関わりたいと思っています。
最近では、育休復帰を目指す女性向けセミナー、男性管理職と女性部下が一緒に参加するワークショップ、60歳からの働き方セミナー等、多世代にわたるセミナーのご依頼をいただくようになりました。
これから団塊ジュニア世代が50代となり、働き方や生き方を見直す方が増えるでしょう。ミドル世代の男女の支援にも関わりと考えています。

親になったから子供のサポートに回る、まだ若手だから経験を積むまで待つ、●歳だからもうキャリアチェンジは難しい、等とストレオタイプに考えるのではなく、やりたいと思ったら、何かしら行動を起こしてみたらいいのではないでしょうか。
それらを起こすために、まずはGEWELのイベントや交流会へ参加していただきたいと思います。

自分自身をプロデュース

個人的には、セルフプロデュースに興味があります。これから50代60代と年齢を重ねていくと考えた時に、私自身もやりたいことにチャレンジしたい、新たな行動を起こしたいと考えるようになりました。今は、フリーのキャリアカウンセラーとして色々な仕事場に行くというワークスタイルですが、「ここに行けば会える場」や「ここで発信している場」等、場所を作れないかと考えています。

例えば、エグゼクティブの方向けの会員制ラウンジです。
学生時代にバーレストランでアルバイトをしていたことがあります。お客様の多くはエグゼクティブで、その時間そのものが人生の財産となっています。また会社員時代、役員や管理職から「率直なところ、どう思う?」と企画や人事施策について意見を求められることがよくありました。今でいうディスカッションパートナーだったのかもしれません。その頃から、傾聴力と洞察力は持ち合わせていたと思います。本音をストレートに代弁することができたのです。

また、日替わりでサロンやカフェのオーナー、ラジオのパーソナリティのような役割もやってみたいですね。また、キャリアチェンジや再就職を目指す方向けの講座では、地方へも行きたいと持っています。これまで女性向けの再就職支援に関わっていましたが、これからは男性も対象となるでしょう。

それから、アジアとの接点も持ちたいと考えています。学生時代に地理学を専攻し特にアジアに関心がありました。20代では毎年アジアに出かけ、濃い顔立ちのせいかどこへ行ってもしっくり馴染んで現地の方との交流も深めることができました。バリ島は4回訪問し、日本で楽器(ガムラン)を習っていたこともあります。これから日本以外に、第二の拠点をつくってもよいのかもしれません。